【こんな症例も治りますシリーズ 709】『 猫の膀胱結石 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、無結晶性膀胱結石の顕微鏡写真です。

■ 無晶性結晶は、さまざまな動物種の尿によく見られます。

 

参照サイト:

https://00m.in/zzsCg

 

猫 12歳 ミックス猫 オス(去勢手術済み)

 

 

【 オシッコに黒いツブツブが混じっている 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼主様からお話を伺ってみると、『 昨日、オシッコと一緒に黒いツブツブが混じっていたので、びっくりしたのですが、その後は普通のオシッコで、今日もいつものように排尿しました。それ以来、何もないのですが、ちょっと心配で診てもらえますか? 』とのことで当院に来院されました。

 

 

 

■ 尿路結石症は、尿管、膀胱、尿道に結晶や結石ができる病気です。

 

 

 

■ 原因としては、栄養バランスの偏りや水分不足などによって、オシッコのpHバランスがくずれ、尿に含まれるストルバイトやシュウ酸カルシウムが結晶化することで起こります。

 

 

 

■ 結石は小さければオシッコとともに排泄されますが、結石が完全に尿道を塞ぐと、尿が出せなくなり、その結果、急性腎不全や尿毒症、膀胱破裂など重篤な状態になる可能性があります。

 

 

 

 

■ 診断として、結石はレントゲン検査や超音波検査で分かります。
軽度の場合は、閉塞していなければ食事療法で改善するか試みます。
膀胱や腎臓に砂状ではなく大きな石がある場合は、手術で取り除くこともあります。

 

 

 

■ さて、このネコちゃんの場合、問診の結果から『 尿路結石症 』が疑われましたので、血液検査、尿検査及び画像検査をおこなったところ、血液検査やレントゲン検査は特に問題はなかったのですが、エコー検査で膀胱に砂状の結石が認められました。

 

 

 

■ 尿検査では、色調:濃い黄色、pH:6.5、尿比重:1.030、蛋白質:2+、潜血反応:3+、結晶は無晶性(形が整っていない状態)でした。

 

 

 

■ また、今回、顕微鏡下で、細菌は認められなかったのですが、細菌感染は否定できないため、原因菌を特定し、その菌に効果的な抗菌薬を選択することができる細菌培養試験・薬剤感受性試験を実施することとしました。

 

 

 

■ 以上の検査結果から、『 膀胱結石 』と診断されました。

 

 

 

 

■ また、細菌培養試験の結果は、まだ出ていませんが、血尿がみられたことから恐らく膀胱炎も併発していると考えられます。

 

 

 

 

■ 通常、結石が見つかった場合、外科的治療が第一選択となりますが、高齢であることから、飼い主様の希望により、今後は食事療法を基本とし、また細菌培養試験の結果によっては、膀胱炎の原因菌に効果的な抗菌薬を併用していく予定です。

 

 

 

 

■ 高齢猫の場合、尿pHが7よりも小さい数字の酸性尿になりやすく、その時に出現する『 シュウ酸カルシウム結石など 』が頻発するのですが、今回のような『 無結晶性 』ですと診断がしにくいので、その際には尿検査を時期を変えて繰り返して『 確定診断 』を導き出すのが良いです。

 

 

 

# なぜならば、猫ちゃんの一生を考えると、尿路疾患の原因を特定することは大切です。

 

 

 

■ 猫の尿路結石は再発しやすく、一度発症すると慢性化する傾向があります。

 

 

 

 

■ ミネラルバランスが良く、適切なオシッコのpHをコントロールする適切な食事を与えるようにしましょう。

 

 

 

■ また、新鮮な水を常に飲める状態にしておき、十分な量の水を飲ませることも大切です。

 

 

 

■ 食事から水分を補充するために、ドライフードではなく缶詰などのウエットフードを与えることや、ドライフードをお湯でふやかすことも効果的です。

 

 

 

 

■ そして、猫がオシッコを我慢することがないように、トイレはいつも清潔にしておくことも病気の予防になります。

 

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

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